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日本の25倍もの面積をもつアメリカ。以前、西海岸カリフォルニア州のエコ法律CALGreenについて紹介がありましたが、東海岸ニューヨークから約4000キロ以上も離れた地でもLEEDを含め環境に優しい法律があると知り嬉しくなりました。そこでニューヨークのグリーンビルディングの法律をもう一度おさらいしてみたいと思います。

グリーンビルディング法、LL86の開始

LL86 logo

2005年10月、ニューヨーク市はアメリカ国内初のグリーンビルディング法、Local Law86(以下LL86)を採択しました。 LL86は、市から規定金額以上の資金を受ける新築、既存建築の追加や大幅な再建作業はLEEDの査定基準に従う(またはシルバー認定を取得)ことを義務付けるものです。建物の再建とは、床面積の50%以上、または建築システムの3台柱であるHVAC、電気、配管のうち2つ以上に復旧作業を伴うものを言います。この法律は、市が目指す持続可能な町づくり(PlaNYC)を斡旋する力強い味方になりました。

110822_LL86_2010_report print_version_FINAL_Page_01環境安全課のNY市長オフィスで纏められているLL86の概要 (出展:出典:MOEC)

LL86の進展

LL86は2007年に正式に政令化され、その後2009年に更新されたLEED基準にあわせ修正されました。 LL86の2010年度年次報告書によると、60億ドル以上の費用を要する総計174の建築プロジェクトのデザインが開始され、そのそれぞれが少なくとも 1つ以上のLL86規定を満たしていると報告されています。2011年6月には基準の向上と対象プロジェクトの見直しなどを目的に新部署、Mayors Office of Environmental Coordination(MOEC)が設けられました。

bloomberg_greenbulding_planyc2009年12月、ブルームバーグ元NY市長より発表されたplaNYC (出展:Inhabitat
Internet Brands Inc)

LL86の対象はどんなもの?

一般的なLL86の対象の例として以下のものがあげられます。(学校や車庫は別途規定があり)

  •     200万ドル以上の新しい自治体の建設や大復興プロジェクト
  •     市から1000万ドル以上の資金を受け取るNY市内の民間プロジェクト
  •     1200~3000万ドルまでのプロジェクトは20%のエネルギーコストを削減(3000万ドル以上は25%)/車庫は1200万ドル以上の全てが対象
  •     200万ドル以上のボイラーおよび100万ドル以上の照明システムの交換プロジェクトは10%のエネルギーコストを削減 (HVACは200万ドル以上で5%)
  •     50万ドルの給水器具交換プロジェクトは給水消費量を30%削減

エネルギーコストの削減については市が7年以内にその目標が達せると判断する場合は、そこから更に5-7%の削減を要求することがあります。しかし市の利益になるような建築物の場合、最高20%までの費用免除などの控除もあり、プロジェクトによっては規定と同じ、またはさらに厳格であると証明できる場合はLEED以外のほかのシステムや規定が推薦されることもあります。

2010_gb_ll86_criteria_and_requirements_diagramLL86の概要について(出典:MOEC LOCAL LAW 86 OF 2005 BASICS

LL86の影響

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2005年の採択以来、市の多くのプロジェクトが変わってきました。公共建築の主局の一つであるNYC Department of Design an Construction(DDC)の報告によれば、2012年までに65以上のプロジェクト(総計2億ドル以上)がDDCによりLL86基準元で設計され、年間2021メートルトンの温室ガスの削減、572万ガロンの水消費の削減、そして88万ドルものエネルギーコストの削減が確認されています。また公共の教育機関であるNYC School Construction AuthorityやNYC Department of EducationもLL86基準に沿った公立学校の設計を増加し、エネルギー効率の良い健康的な学習環境をつくる設計工事を進めています。 NYC Department of Citywide Administrative Services Energy Management group は、LEED®再生可能エネルギークレジットを得るために地元の風力発電所からの再生可能エネルギーの買収を行うなど、市が一体となり環境に優しい町づくりに励むようになりました。

LL86から生まれたプロジェクト

実際にLL86が導入され完成したプロジェクトを探してみたので、幾つかご紹介します。

LL86 Project_Dept of Homeless Services PATH Family Center_from DDC's websiteホームレス用の施設

LL86 Project_NY Police Academy_from DDC's websiteニューヨーク市の警官訓練学校

LL86 Project_Remsen Yard_DEP facilities designed by Kiss and Cathcart Architects_from DDC's websiteNY市環境保護庁の整備施設

LL86 Project_Brooklyn Children's Museum_Dept of Cultural Affairs_from DDC's websiteブルックリンの子供ミュージアム

(出典: DDC Sustainable Design Projects)

LL86の導入で多くの環境に優しい建築プロジェクトが生まれています。ここのプロジェクトは興味深いので、又別の記事で紹介したいですね。

20120428_LEEDLOGO4sカリフォルニアと同様、どんどん普及されていくエコ法律とそれに見合った開発。世界大都市の一つであるニューヨークも、環境に優しい町になってきました。LL86が開始されてからまもなく10年が経とうとしています。新しい年次報告はまだ発表されていませんが、これまでの成果報告が気になるところです。

資料:

*最新情報または過去の報告書などははMOECまたはNYCDDCのサイトをご覧ください。

■MOEC正式ウェブサイト

■NYCDDC正式ウェブサイト